【講演会 実施報告】広島大学大学院 フンク教授

12/3(金)に三國屋で広島大学大学院のフンク・カロリン教授の講演会が開催されました。

フンク先生の専門は、地理学の視点から観光を見る「観光地理学」で、中でも、「観光地の発展」、「観光地が発展することで生じる問題」、「持続可能な観光」というテーマを中心に研究されています。
今回はフンク先生に、観光地としての宮島が今後どのように発展していくべきかというお話を聞かせていただきました。

昨今、「観光」は世界中の多くの人にとって身近なものになり、旅行に行って休暇を楽しむ人が増えています。世界遺産・宮島にも、コロナウイルス蔓延以前は、大きな宣伝をせずとも途切れることなく観光客が訪れていました。
他の多くの観光地であれば、平日は観光客が比較的少なかったり、観光客が少ない閑散期があったりします。
しかし、インバウンド観光客(とりわけフランスやスペインなどの西欧からの観光客)が多い宮島では、平日や休日、季節などを問わず多くの観光客が訪れていました。

インドや中国等の世界遺産に登録されている有名観光地でもオーバーツーリズムが問題になり、現地住民への悪影響や観光地としての質の低下が指摘されてきました。この事態を真摯に受け止めた各国政府は解決策を模索し、入場を予約制にしたり、国内観光客よりも国外観光客の入場料を高く設定したり、地域の認定ガイド付きツアーに参加しないと入場できない等の仕組みを導入したりして、観光地の保全を行なっている有名観光地も増えてきました。

一方で宮島では、上述のようなオーバーツーリズムが生じているにも関わらず具体的なことが何も行われていません。宮島口と宮島を往来するフェリーは5〜15分間隔で運行していますが、観光客が長蛇の列で、フェリーに乗る島内住民も観光客と同じ列に並ばなければならず、不便を感じている人もいます。
また、世界遺産の弥山は登山客が非常に多いにも関わらず、入山料を科していません。そのため、生態系保護や登山道を補修する際には税金を使用しています。

現在の宮島の状況は、観光客は楽しむだけ楽しんで、自分たちが訪れたことによって生じたネガティブな側面には目を向けていません。それでは、観光客と地域住民が共生することなどできるはずがないのです。
SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれている今日、一人一人が自覚と責任を持って観光地である宮島を保護する必要があります。

世界遺産・宮島は、人類共通のたからものです。
美しいこの場所を私たちの世代で終わらせるのではなく、次の世代やそのもっと先の世代に受け継いでいく責任があるのです。
私たち1人の力はとても小さく微々たるものではあるかもしれませんが、無力ではないはずです。1人1人が何ができるのかを考える必要があると思います。

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